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Orbital Sciences / X-34


写真集


(2004/04/01) X-34飛翔
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(2004/04/01) X-34の3面図とX-15の比較
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こめんと

Xプレーン、なかでもロケットプレーンもX-1とX-15に続いてこのオービタル・サイエンシズX-34で3機種目となりました。 X-34は平行してロッキードマーチンで開発されていたX-33の方が注目度が高かった為にどちらかと言えば地味な印象がありますが、個人的には手堅い設計と現実的な選択とで非常に注目していた機種です。 X-33は革新的な技術を盛り込んだ実験機であり、もし成功していればX-33を大きくしたベンチャースターが誕生したはずでしたが、その革新性ゆえに数々の問題を生じていました。 X-34は対照的に現在既にある技術を積み重ねる事で低コストを実現する目的で開発されており、実際に予算規模もX-33では総額で9〜10億ドル近かったのに対して、X-34では6000〜9000万ドルに過ぎません。 なおX-33もX-34もあくまで実証実験機であり宇宙機そのものの開発では無く、その意味では形状は似ていてもスペースシャトルとは位置付けが異なりますので注意は必要です。 NASAは2001年3月にX-33/34計画のキャンセルを発表しました。 これは既にある程度の成果が得られていた為でもありますが、再利用型の宇宙機開発のレベルには達していなかった点も見逃せません。 スペースシャトルの後継機には当然のこととして再利用型の宇宙機をあげていたNASAとしては苦渋の決断だった事でしょう。

さて話をX-34に戻しましょう。 X-34は低コストで再利用可能な機体を開発する基礎技術の蓄積が目的としてスタートしました。 なぜ開発元がオービタル・サイエンシズ社なのかと言うとやはり実用ロケットとして成功したペガサスロケットの実績が大きいでしょう。 ペガサスロケットは空中発射の小型ロケットですが低軌道に対して衛星の打ち上げを安価に実現した実績があります。 ペガサスロケットの空中発射母機であるトライスター(L-1011)はX-34の空中発射母機でもあります。 乱暴に言えばペガサスロケットのエンジンを固体燃料から液体燃料に変更して再利用可能な機体としたものがX-34であるとも言えるでしょう。 X-34の主エンジンとしてはNASAマーシャルスペースフライトセンターが開発したファーストラック(Fastrac)が搭載されます。 ファーストラックエンジンは燃料として液体酸素とケロシンを利用していますが、この組み合わせも実績がある選択であり無理が無い設計であると言えるでしょう。 更にX-34は無人機ではありますがGPSを利用した安価なナビゲーションシステムを備えています。

さて実際にはX-34はどこまで開発が終わっていたのかと言えば、残念ながら最後まで単独飛行をする事無く終了しています。 X-34の最大高度は80kmでありマッハ8を目指していました。 この目標値はほぼX-15と同等レベルと言って良いでしょう。 つまりX-34は最新の技術でX-15同等レベルの機体を安価に再設計したとも言えます。 X-34のプロトタイプモデルは完成してお披露目され、1999年6月29日にテスト飛行の為に母機となるトライスターに搭載されまずは分離しないで行える試験を実施されましたが、その際に母機トライスター側の不具合が見つかり結局その後のテスト飛行はされないまま計画を終了しています。


うんちく

うんちくとなっていますが、ここでは2003年2月にスペースシャトル・コロンビアが空中分解して以来議論されている再利用型か使い捨てのカプセル型かの考察を私なりにしてみようと思います。 中国の神舟の成功を見てもまた日本においても「ふじ」の考察を考えてみても、現状では確かに使い捨て型の方が短期間かつ安価に宇宙機を作れる事は事実でしょう。 しかし例えば小型の衛星しか打ち上げられないペガサスロケットにもニーズがあるように再利用型が全ての面で不利かと言えば個人的にはそうでは無いと考えています。 確かに万能の宇宙機のごとく言っていたX-33/34とは異なる形ですが、空中発射による小型の再利用型宇宙機にはメリットは無いでしょうか? X-34においてメリットとされていたのは以下の2点です。

1)空中発射により専用のロケット発射施設が不要となり運用が容易。
2)地上の天候に左右されない打ち上げが可能であり柔軟性のある運用が可能。

これに加えて制限としては空中発射では小型の機体に限定される面はあるでしょう。 更に帰還時においては飛行機のように着陸できるとの利点がありますが、個人的にはこれの為だけに重く大きな翼と着陸装置を宇宙まで持ち上がる事は本末転倒と考えています。 つまり帰還時にはある程度の機動性を例えばリフティングボディにより実現して最終的に着陸はパラシュートやパラセールにより行う程度にすれば再利用可能な機体も可能では無いかと考えています。 そしてこのような機体で運ぶのは人間だと考えればメリットは無いでしょうか? 重い荷物は従来のロケットで打ち上げるが、例えば観光や宇宙施設へのシャトルとしての人員輸送を空中発射の小型宇宙機で行う事は無理なのでしょうか? 本来はきちんと数字を計算した上でしか答えは出ない事は理解しています。 またこのような素人考えがまともな考えでは無い事も承知しています。 でも流行を追うように「やっぱり使い捨てカプセル型だ〜!」と皆が走るのでは無く、天邪鬼な考えの人がいても良いのでは無いかと思う今日この頃だったりします(笑)

次はいよいよXプレーンから離れて私の考える宇宙機をお遊びで作ってみたいと思うのでした。 その為には空中発射母機をどうするかも検討する必要がありますがこれもお遊びで考えてみようと考えています。 どうせSFだし(^^;


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